本記事は、コミックマーケット104に頒布するシナリオを試し読み版です。
本作は、「 株式会社アークライト 」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『新クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。
Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「新クトゥルフ神話TRPG ルールブック」
はじめに
このシナリオは1人から3人の探索者と遊ぶことを想定したシティシナリオです。
| 舞台：現代日本プレイ 人数：1～3人 プレイ時間：3～5時間 推奨技能：探索系技能、隠密 準推奨技能：自衛できる戦闘系技能、経理、鑑定、オカルト、科学などの知識系技能 ハンドアウト：あり |
注意事項
- このシナリオは、クトゥルフ神話TRPGのルールに基づいて作成されています。
- プレイ前に、ルールブックをよく読んで理解しておいてください。
- このシナリオには、暴力、恐怖、死などの描写が含まれています。
以下のリンクから使用ガイドラインを一読することをおすすめします。
ハンドアウト
セッション開始前に、キーパーは「 探偵」、「助手」、「居候」の3つのハンドアウトを公開し、プレイヤーはその中から1つを選びます。
ただし、必ず1人が「探偵」を選んでください。
プレイヤーが1人の場合は、自動的に「探偵」になります。
探偵
あなたは探偵事務所の探偵である。家賃を一年滞納しており、大家から催促されている
助手
あなたは探偵の助手をしている、探偵の代わりに探偵事務所の全ての事務を行っている
居候
あなたはとある事情で探偵事務所に居候している。なぜかよく探偵の仕事を手伝っている。
シナリオの導入
探偵事務所で暇を持て余していた昼下がりのこと、突然アパートの大家である大八木麟が訪ねてきました。大家は少し焦った様子で、急ぎの依頼があると言います。
話を聞いてみると、失踪した友人を一緒に探してほしいという依頼でした。
彼女の友人であり、大学院生をしている土屋萌黄が一通のメールを残して失踪したようでした。そのメールにはこう書かれていました。
アパートの住民の誰かに命を狙われている
もし、私が死んだら以下の文から犯人を探して止めて
あるところに仲良しさん ひとつ屋根の下で暮らしてた
一人が火の神 喜ばせ 燃えてしまって 五人に
一人が土の神 思い悩み 埋められちゃって 四人に
一人が水の神 驚かせ 溺れてしまって 三人に
一人が木の神 怒らせて 殴られてしまって 二人に
一人が金の神 泣かせたら 切られてしまって 一人に
最後のひとり みんなの神に 認められたら 神になった
手がかりはこれだけだというのです。
彼女は深刻な顔をしながら、依頼が成功すれば滞納している家賃を免除すると約束しました。
しかし、もし依頼が失敗すれば、事務所を追い出すと告げました。
その厳しい条件に、探索者は一瞬ためらいましたが、彼女の切迫した表情と、自身の置かれた状況を考えて、依頼を引き受けることにしました。
探索開始
シナリオの導入が終わったら、「南煌アパート」に進んでください。
南煌アパート
夕闇迫る中、探索者と大八木が土屋萌黄が住んでいるアパートに到着すると、そのアパートは燃えていました。消防車が来て消火活動をしていますが、火はまだ消えていません。
①アパート
6部屋ある2階建ての木造アパートが勢いよく燃えており、アパートの中に入ることができません。
アパートに〈聞き耳〉に成功すると、アパートの方からかすかに男性「すざくに焼かれた」と聞こえました
②群衆
アパートの前には野次馬が集まっていて、何かを話し合っていました。
群衆に〈聞き耳〉に成功すると、「正午に龍のフェイスマスクをつけた不審者がアパートの周りをうろうろしており、そいつが放火したんじゃないか」という噂話が聞こえました。
群衆に〈目星〉に成功すると、アパートの大家らしい人物を見つけました。
アパートの大家に話しかけると、依頼者を見た大家は「あら、りんちゃんじゃない。そちらは友達かしら。私は黄土用子よ。どうしてここに？」とフレンドリーに返した。
こちらの事情を話すと、黄土は「 私も来たばっかでどうなっているのかわからない。土屋ちゃんにはここ最近会っていないわ」と困惑した様子で話しました。
黄土に対して〈対人関係技能〉に成功すると、「そういえば、数日前に蘭末さん、北波さん、鍋西さんがコソコソなにかしているところを見たことがあるわ」と言いました。
一通り探索が終わると大八木のスマホから土屋のメッセージが届きました。
そのメッセージには「今から墓地にきて？あいつに追われていて、助けてほしい」と書かれていました。大八木は「その墓地なら私知っているわ、こっちよ」と急かしながら探索者をその墓地まで案内しようとします。
共同墓地
墓地に着くと、古びた墓が並んでいました。水くみ場とゴミ箱を通り過ぎて少し進むと、開けた場所に出ます。そこで、上半身が土に埋まっていて、左腕だけが地上に出ている死体が見えました。死体を掘り起こすと、黄色のレインコートを着ていて、左手の薬指には指輪がありました。
①死体
その死体を大八木麟に見せると、それが土屋萌黄であると確認しました。死体を見た探索者は1/1d3の正気度ポイントを失います。
レインコートのポケットには、銭湯を経営している北波冬輝、大学で教授をしている蘭末友春、政治家の鍋西秋夫の名刺が入っており、それぞれ住所と連絡先が記載されていました。その連絡先に電話しても応答はありません。また、警察に通報してもまともにとりあってくれませんでした。
死体に〈医学〉または、〈科学（法医学）〉に成功すると、死因は生き埋めによる窒息死でした。死亡してから15分から30分経過していることがわかりました。探索者は状況から何者かが土屋を埋めたのではないかと推測しました。
〈目星〉に成功すると、土屋萌黄の持ち物を調べてもスマホをもっていませんでした。
〈鑑定〉に成功すると、指につけられた指輪には、麒麟の意匠が刻まれていました。
〈経理〉に成功すると、財布の中から高額なジュエリー購入のレシートが複数枚見つかったことから、大学院生の身分としてはかなり裕福な生活を送っていたようです。
②水くみ場
水くみ場にはバケツや柄杓が散乱していました。そのバケツの中に、焦げたスマホがありました。〈電気修理〉に成功すると、そのスマホはデータを復旧できないことがわかりました。
③ゴミ捨て場
ゴミ捨て場にはゴミに混じってシャベルがありました。そのシャベルには土が着いている最近使われているようです。
〈目星〉に成功すると、5体の土人形が捨てられていました。その土人形を割ってみると誰かの髪の毛が入っていました。
〈科学（法医学）〉に成功すると、その髪の毛の一つは萌黄の髪の毛であることがわかりました。
〈オカルト〉に成功すると、この人形は何かの呪いなのではないかと思いました。
④墓
管理されていない墓が並んで置かれていました。ここなら誰かから身を隠すことができるかもしれないと探索者は思いました。
〈目星〉に成功すると、墓地のほうから魚面した人間をこちらを見ていましたが、探索者に気づかれるとその場を立ち去りました。
墓地での探索が終わると辺りはすっかり暗くなり、「北波銭湯 」「蘭末研究所」「鍋西事務所」の3箇所を調査するには遅すぎました。探索者はこれ以上探索できないことを察し、事務所に戻りました。
お知らせ
試し読みはここまでです。
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