本作は、「平野累次」「冒険支援株式会社」「株式会社新紀元社」が権利を有する『バディサスペンスTRPGフタリソウサ 』の二次創作物です。
(C)平野累次/冒険支援株式会社/新紀元社
予めご理解ください
はじめに
このシナリオは、Role & Roll Books の『バディサスペンスTRPG フタリソウサ』で遊ぶためのシナリオです。
『バディサスペンスTRPG フタリソウサ』
著者:平野累次/冒険企画局
イラスト:うらは
定価:本体1,700円(税別)
新書版 256ページ
発売日:2019年3月5日
発行:新紀元社 ISBN:978-4-7753-1701-3
『バディサスペンスTRPGフタリソウサ』公式サイト
http://www.bouken.jp/pd/2s/
・ 推定プレイ時間:2時間半~
・知ってたカード:3枚
・開始時点「捜査困難レベル」:1
(難易度の調整としてGM判断で2から開始も可)
このシナリオは無料公開しているものであり、自由にセッションを開いて頂いて構いません。
ただし、自作発言はご遠慮いただき、募集の際などは雑貨店せいらんのシナリオだと明記頂けましたら幸いです。
個人でのセッションを目的とした改変やシナリオの改造も問題ありませんが、その場合でも原作が当シナリオであることを必ず伝えて頂くようお願い申し上げます。
詳しいことを知りたい方は「使用ガイドライン」をご覧ください。
シチュエーション
この事件は、残暑も日ごとに和らいだ初秋の季節に起こります。
PC達の元に、ある資産家から1件の依頼が舞い込んできます。その依頼は脅迫状を送ってきた犯人を突き止めるというものでした。その脅迫状にはある資産家に対して復讐してやる。殺してやるといった内容が書かれていました。
脅迫状を送った人を探しているうちに、PC達は他の事件に巻き込まれることになります。
ロケーション
紫水陽邸
被害者が発見された事件現場です。PC達のたまり場から車で1時間程の高級住宅街にある、大きな一軒家。屋敷にはそこには高級ワインが保管されているための大きなワイナリーがある。
登場人物
紫水 陽( しすい・よう )
67歳 男性
PCへのミスリードの為の存在。
脅迫状を送られた紫水家の当主。
暗号資産で一財産を気づき、高級住宅街の一軒家に住んでいました。
また、無類の銃好きであり、銃を撃つために頻繁にグアムに旅行している。自分の書斎にはモデルガンが飾られていました。
紫水 百合( しすい・ゆり )
64歳 女性
紫水陽の妻であり、今回の被害者です。
ワイナリー室で拳銃に撃たれて死亡していました。
ワイン愛好家であり、高級ワインを集めてワイナリー室で保管されていました。
高級ワインを集めるために夫である紫水陽から多額の借金を抱えています。
紫水 仙( しすい・せん )
33 歳 男性
PCへのミスリードの為の存在。
紫水陽の息子。
自他とも認めるギャンブル依存症で、多額の借金を抱えています。
しかし、競馬で大当たりして、借金を全て完済しました。
実は銃恐怖症であり、銃を見ると腰が抜けてその場から動けなくなってしまう。
鈴木 蘭( すずき・らん )
25歳 女性
今回の第一発見者。紫水家で家政婦をしている。
紫水仙から言い寄られてきたが、きっぱりと断った。それがきっかけに紫水百合から嫌がらせを受けています。
いつか家政婦を辞めて推理小説作家になりたいという夢を持っています。
板鳥 兜( いたどり・かぶと )
56歳 男性
脅迫状の犯人捜査の依頼人。
紫水家で執事をしている。
百合の死亡推定時刻には、PC達に恐怖症の犯人捜査を依頼していた。
実は板鳥兜は偽名であり、本当の名前は薊錬(あざみ れん)である。
過去に強盗事件を起こしてあり、それをネタに紫水陽、百合から脅されています。そのために紫水家を恨んでいます。
PC達に依頼する前に陽の書斎から拳銃を持ち出し、百合を殺害しました。殺害する際に拳銃にタオルを巻き付けることで銃声を消していました。その後、死亡推定時刻を遅らせるためにワイナリーの室温を下げました。
知ってたカード
キーワード
①鍵がかかっていない
②紫水 陽
③紫水 仙
⑤銃器恐怖症
⑦全て盗難品
⑨複数の強盗事件
⑩無理やりワインを強奪して
⑪硝煙反応が検出されたタオル
重要キーワード
④寒すぎる冷房
⑥腐敗を遅らす
⑧薊錬(あざみ れん)
知ってたカード 1
被害者の紫水百合はワイナリーで死亡したのは、板鳥兜と鈴木蘭が自分たちに被害者の浮気調査を依頼している時だと警察が主張している。死体発見時、この部屋の扉には「①」ことがわかった。凶器は被害者の側にあった回転式拳銃(リボルバー)だった。その拳銃の持ち主は「②」だった。その拳銃の存在を知っているのは「②」と「③」だけだ。よって、警察はこの2人を容疑者として捜査を進めている。
しかし、探偵はこの部屋の『④』に違和感を覚えた。
知ってたカード 2
容疑者について調べた結果、「③」は「⑤」であることがわかった。これでは、拳銃で被害者を殺害することができないだろう。
『④』を使えば『⑥』ことも可能だ。
執事の板鳥兜と家政婦の鈴木蘭は被害者から執拗に嫌がらせを受けていた。
ワイナリーに置かれているワインを調べてみると「⑦」であることがわかった。被害者はこれらのワインをどこで収集していたのだろう。
知ってたカード 3
板鳥兜について調べた結果、板鳥兜が『⑧』であることがわかった。
「⑧」は過去に「⑨」を起こしていた。被害者から「⑨」で脅され、「⑩」いた。
「⑧」は「③」から拳銃の存在について知った。
そして、「⑧」の部屋から「⑪」が発見された。
「⑪」を使えば、銃声を小さくすることが可能だ。
事件発生フェイズ
事件発生フェイズでは、PC達のたまり場に板鳥兜がやってくるところから始まります。
板鳥兜は「自分が紫水家に仕えている執事であり、その紫水家に脅迫状が届いたので、脅迫状を書いた犯人を探してほしい」という依頼を持ってきました。
板鳥からその依頼の前金として10万円を提示した。
また、紫水家について以下の情報を話します。
・紫水家は暗号資産で富豪になった。
・紫水陽は無類の銃好きであり、銃を撃つために頻繁にグアムに旅行している。自分の書斎にはモデルガンが飾られていました。
・紫水百合は美人で浪費癖が激しい。ワイン愛好家であり、高級ワインを集めている。集めたワインは専用のワイナリー室で保管されている。
・紫水仙はギャンブル依存症で多額の借金を抱えている。無類の女好きで浮いた話があとを絶えない。
板鳥と一緒に紫水家の屋敷に入ると女性の悲鳴が聞こえた。
悲鳴が聞こえたワイナリーに向かうと女性がうつ伏せに倒れていました。そこには扉に寄りかかっている家政婦と呆然としている二人の男性がいました。家政婦は鈴木、男性は紫水陽とその息子の紫水仙でした。
このタイミングで、GMは事件調査シートと「知ってたカード(1)」を用意し、PLに渡してください。また、このシナリオは知ってたカードが全部で3枚だということも伝えます。
・「捜査困難レベル」は「1」です。
【初動捜査】
まず、PCたちは事件についての詳細な情報を得るために、初動捜査として事件現場であるワイナリーを調べます。この初動捜査で使用する技能は《現場》です。
このとき、手に入れることが出来るキーワードは「①」です。
初動捜査後、PCたちは「屋敷内の人間なら誰にでも被害者を殺害することができた」という情報を得ることが出来ます。
ここまで聞いたところで、捜査フェイズに入ります。
捜査フェイズ
捜査フェイズでは、PCたちは事件の詳細を調べるために動き始めます。
その過程で、事件の被害者である紫水百合の周囲の人間関係や、仕事の実態について調べていくことになります。
GMは、捜査フェイズ開始時に真相フェイズで当てる犯人は「紫水百合を射殺した人物」であるとPLに伝えてください。
「知ってたカード」の全ての情報が出揃った時点で、GMはPLに次の「知ってたカード」を開示します。
フタリソウサシーン⑥、⑧に関しては技能に失敗した場合、情報を得ることが出来ずに終わります。その場合はサイクル終了後、助手の【余裕】から【捜査困難レベル】分の点数を減少させて、改めて「フタリソウサ」を行い技能を振るように処理してください。
フタリソウサシーン キーワード4を調査した場合
このフタリソウサシーンが開始されると、PC達はこの部屋が他の部屋より寒すぎることに気づきました。このワイナリーについて家政婦に聞くとワインを保管するためにこの部屋の温度を15℃に設定していることがわかりました。
PC達がこの部屋の温度を調べると0℃に設定されていることに気づきます。
ワイン愛好家として有名な紫水家が温度を低くすることがあるのだろうか。
このことから探偵PCは何らかのトリックのために温度を低くしていたのではないかと思い至ります。
重要キーワードである『 冷房が効きすぎた部屋(室内)』を獲得します。
フタリソウサシーン キーワード6を調査した場合
このフタリソウサシーンが開始されると、PC達は死体に対して詳細な調査をするために図書館、インターネット、専門家への聞き込み等を行った結果、死亡推定時刻は死体の体温と腐敗状況によって大きく変わり、死体の体温が低ければ腐敗を遅らせることが出来るということが分かります。
これによって死亡推定時刻は「後ろにずらされていた」ことがわかります。
つまり、探偵に脅迫状を書いた犯人を探してほしいという依頼をしていた頃に殺害されたわけではないため、板鳥兜のアリバイはなくなります。
重要キーワードである『腐敗を遅らせる』を獲得します。
フタリソウサシーン キーワード8を調査した場合
このフタリソウサシーンを開始すると、家政婦の鈴木蘭からPC達に声をかけます。鈴木蘭は警察の話を盗み聞いたり、当主の書斎を調べたりなどの独自に調査をしていました。
家政婦の話によると板鳥兜は偽名で本当の名前は薊蓮であることがわかりました。
紫水陽は薊蓮を執事として雇いたいが、そのまま雇うと紫水家の名に傷が付く可能性があるかもしれません。
そこで紫水陽は執事として雇い入れるために板鳥兜から薊蓮を改名しました。
重要キーワードである『薊蓮』を獲得します。
真相フェイズ
真相フェイズでは、探偵PCの推理が行われます。どんなシチュエーションで探偵PCが推理を行うかは、PLとGMが相談して決めてください。
特に思いつかない場合、現場検証中の桝見信三邸になります。そこに、容疑者である笹瀬ユリも含めた事件の関係者全員を集めることになります。
「事件の振り返り」と「犯人はお前だ」を行います。
「犯人はお前だ」で犯人が『 板鳥兜 』もしくは『薊蓮』だと指定すると、板鳥兜は犯行を認めます。
板鳥兜 または薊蓮は、紫水陽と紫水百合から脅されて、高級ワインを強奪していた。このままだと死ぬまで紫水家の奴隷として犯罪をし続けるかもしれない。そんなことをするぐらいなら殺したほうがマシだと思ったことなどを動機として話します。
「真相」を参考に、GMはPLに真実を伝えてください。
犯人
このシナリオでは、被害者を射殺し、死亡推定時刻をずらすことができた人物が犯人です。つまり、「板鳥兜」が犯人となります。
真相
板鳥の動機は紫水家の復讐です。
板鳥兜は犯罪者の薊蓮であることを理由に紫水陽、紫水百合から脅されていました。
紫水百合は板鳥を脅し、高級ワインを盗ませていました。万が一そのワインが見つかっても財力を使って自分を逮捕されないように裏で工作していました。そのため、自分は安全であると油断していました。そんな中で板鳥にワイナリーに呼び出され、背後から撃たれました。
即死だったため、ダイイングメッセージを残すことができませんでした。
板鳥はタオルに包んだ紫水の拳銃で百合を殺害した。そうすることで銃声を隠すことができる。凶器を紫水陽が持っている回転式拳銃です。拳銃を使うことで紫水陽に殺人の罪をなすりつけることができるからです。最悪、殺人犯として有罪にならなくても銃刀法違反で逮捕することができました。そうすることで、芋吊り方式で余罪が発覚し、有罪になるだろうとおもったからでした。自分のアリバイを証明をするために被害者をワイナリーで殺害し、冷房を強くしました。そうすることで腐敗を遅らせ、死亡推定時刻をずらすことができました。その時刻に探偵に脅迫状調査を依頼することで自分のアリバイを証明することができる。
紫水陽は、板鳥の計画を知る由もなく、脅迫状を送った人物が犯人だと思い込んでいます。
紫水仙は、板鳥に回転式拳銃の存在を話すかわりにお金を借りていました。事件に回転式拳銃が使われたことで自分が疑われるのではないか動揺している
鈴木蘭は、初めて事件に遭遇し、なおかつ探偵がこの屋敷にいるので、これを小説すれば、念願の夢だった推理作家になれるのではないかとワクワクしていました。
それから、自分の小説のために警察の話を盗み聞すなど独自にこの事件を調査していました。そこで集めた情報を探偵に伝え、探偵の推理を聞き出そうとしていました。
終了フェイズ
この事件が迷宮入りした場合、紫水陽は事件の犯人となります。
テレビやネットニュースでは富豪の妻を殺害したとして、痴情のもつれ等とワイドショーは騒ぎ立てることでしょう。作られた真実が、真相として語られることになるのです。
事件を解決した場合、板鳥兜は逮捕されます。
紫水陽と紫水仙は今回の事件で様々な違法行為が発覚し、逮捕されました。
鈴木蘭は紫水家の家政婦を解雇されました。
それからしばらく後、彼女は今回の事件をベースに一冊の推理小説を出版します
その小説のタイトルは「疑惑のワインにご注意を」でした。
その本をきっかけに彼女は家政婦からミステリー作家と転身します。
PC達は探偵として、また少し知名度が上がりました。
GMは、PC達のその後をPLと共に演出してください。
その後、たまり場に置かれる思い出の品や、ゲストNPCの獲得などを終わらせてシナリオは終了となります。
お疲れ様でした。
最後に
最後までご覧いただきありがとうございます。
もし、本作を遊びたいなら「バディサスペンスTRPGフタリソウサ」というルールブックが必要です。
そのルールブックについて知りたい方はこちらの記事を御覧ください
また、フタリソウサについて知りたい方はこちらの記事でまとめています。